インタビュー
学生時代について教えてください
高等専門学校では、主に工業デザインについて学びました。例に漏れず、課題制作に追われ徹夜で作業するような学生でした。スケッチで形を描くよりも、手を動かしてモデルを作る時間の方が多く、個人的には好きでしたね。ほぼ趣味になってしまうのですが、連日学科の工房に籠って木工旋盤を回しては、リングなどのアクセサリーも作っていました。制作物の写真は今でもスマホに保存しています。当時はただただ楽しくてやっていましたが、今では知識や経験として生きているので、無駄じゃなかったなぁと思っています(笑)
今、どのような仕事をしていますか
劇場・ホールの客席イスの設計を担当しています。主な業務はお客様へ製品やレイアウトを提案するための図面や、実際にその製品を製作するための図面の作成です。 「イスの設計」と聞くと、スケッチを何枚も描くようなイメージを持たれるかもしれませんが、実際には何十年も利用される製品なので、安全性や耐久性の確保もとても重要になってきます。それらをクリアできるよう、それぞれの建築に合わせた仕様やレイアウトを入念に検討していく時間が多くを占めています。 最近は海外の案件も多いです。国によってイスに対する考え方やルールが全く異なりますので、その分注意しないといけない内容は多く大変ですが、新しい知識を得ることができる貴重な機会だと感じています。
コトブキシーティングの仕事の魅力や、やりがいについて教えてください
業務上、製品との距離が近いので、たくさんの試作品や見本品を見ることができるのはありがたいです。自分が設計した製品や、パーツがカタチとなった時には素直に感動しますね。自分が初めて見本の製作から打ち合わせまで参加したプロジェクトでは、納入後にこけら落とし公演のチケットを購入して、実際に施設へ行ってきました。現地で製品を喜んで使用していただいている場面を見た時には、言葉では言い表せないほど報われた気持ちになりますね。 納めてから何十年も当たり前に使用される製品なので、カタチとしてだけではなく、記憶にも残る仕事だと思います。もちろん仕事をしていくうえでプレッシャーはありますが、それだけに達成感はひとしおです。
今後の目標について、教えてください
劇場イスだからこそできる、新しいデザインでお客様に楽しんでもらえたらいいなと思います。家庭用のイスのように毎日座るものではないので、特別な日だけに座れる、思い切ったデザインも面白いのではと。もちろんコストや仕様など現実的な壁もあるのですが、いつかやってみたいですね。 あとは、劇場とイスとの新しい関係も探していきたいです。ただ座る機能だけでなく、演出の一部として機能するイスなど。大きな目標になりますが、そういった新しい劇場を想像するだけでも楽しいですね。
1日のスケジュール
07:45
出勤
最寄駅から社バスに乗って出勤しています。フレックスで少し遅い時間に出勤する場合は、市営バスを利用することもあります。
08:30
メールチェックやスケジュール確認
30分くらいでメールチェックと、一日のタスクやスケジュールを確認します。複数のプロジェクトが並行して進行するため、漏れがないよう気を付けています。
09:00
プロジェクト会議
営業とプロジェクトについて打ち合わせを行います。場合によっては協力会社にも入ってもらいます。海外とミーティングをする際は、時差の関係で朝早い時間に行うこともあります。
10:00
設計業務
主にお客様と契約するための図面や、製品の部材をつくるための図面を作成します。必要であれば営業や協力会社へ問い合わせなども行います。
12:00
昼食
天気の良い日は、屋外のベンチで仲のいい社員と昼食をとります。春になると工場内に桜が咲くので、開花の移ろいを眺めるのが楽しみの一つです。
12:45
部内会議
毎日、営業から図面の作成・修正の依頼が入るため、昼休憩後に部署内で依頼書の読み合わせを行います。自分が担当する依頼の場合は事前に内容を確認し、作業内容を把握したうえで読み上げる必要があります。必要に応じて、営業に工場まで来ていただき打ち合わせをします。
15:00
試作品確認作業
設計作業中、工場内に見本品がある場合は都度確認しながら進めます。確認する内容によっては工具を使って組み上げたり、逆にバラしたりします。
木材や金属、樹脂など様々な素材を扱うため、それぞれの特性や加工方法については深く理解する必要があります。もちろん必要な内容は研修などで教わりますが、実際に加工工場へ足を運ぶ機会もあり、体験することも大切です。
18:00
英会話
研修の一環として、週に1時間英会話を受講しています。
以前は対面式の授業でしたが、今はリモートで行っています。当初は聞き取ることもままならない状態でしたが、今では冗談を交えながらコミュニケーションも取れるようになってきました。
※このインタビューは、2023年に行われました。