インタビュー
学生時代について教えてください
大学時代から「早く自分の作品を世の中に出したい」という願望が強かったので、学外活動の多い家具デザイン研究会、モビリティデザイン研究会、ロボットデザイン研究会に所属し、積極的に参加していました。特にモビリティデザイン研究会とロボットデザイン研究会では、大手自動車メーカーのデザイン部長や大手電機メーカーのUI(ユーザーインターフェイス)系の先生がいらっしゃったため、創設メンバーとして参画しました。
家具研究会では、毎年イタリアのミラノで開催される世界最大の家具展示会「ミラノサローネ国際家具見本市」に出展する機会をいただき、現地でブースに立ったことを今でも思い出します。いくつかのヨーロッパのギャラリーから、私の作品を購入したいと声もかけていただけました。製品(作品)の良いところや悪いところなどについて、率直にコミュニケーションがとれたのは大きな収穫でしたね。大学の授業では、当時の学部長で家具も多く手掛けている世界的デザイナー 喜多俊之氏からデザイン思考について常々学び、一緒に研究も行わせていただきました。実は、父が車関係の仕事をしていた影響から幼いころから車が好きで、車のデザイナーを目指していたのですが、大学時代のそれらの経験から家具業界に興味を持ったのが、コトブキシーティングに入社したきっかけです。
学業以外では、祭りなどで似顔絵を描くアルバイトをしていました。お客さんの満足・不満足が、直接その場で感じられるので面白かったですね。
今、どのような仕事をしていますか
入社当時は、主に劇場イスや学校の机イスの設計部に配属され、主に製品を製作するための図面を作成していました。入社2年目で、2,700席もある有名なホールの設計に携わらせていただいたのは、とても印象に残っています。一つのホールですがイスの種類が多く、とても苦労しましたが、イスの取り付け後に舞台から見た客席は今でも忘れられません。その後、開発部に異動し、いくつかの新しい製品開発に携わりました。設計部にいたころよりもじっくりと考える時間がつくれたため、それが自分に合っていたと感じています。現在ではスタンダードとして多くのお客様に使っていただいている製品も多く、とても嬉しいですね。
入社して5年が過ぎたころに海外勤務の話をいただき、弊社のベトナムの製造拠点であるコトブキ・シー株式会社に出向する決断をしました。私自身、初めて海外で暮らすという大きな決断でした。ですが、製造拠点に身を置いて海外のお客様やコトブキ・シーのメンバーと働けることは、自身の視野を拡げる為にも、グローバル化が進む社会で働いていくうえでも必要な経験であると思ったのです。
コトブキ・シーでは、現地や海外プロジェクトの管理、製造調整、製品改善、そのほか会社の広報的な業務まで幅広く担当しています。
コトブキシーティングの仕事の魅力や、やりがいについて教えてください
ベトナムに赴任した当時は英語が話せなかったため、ベトナム人スタッフとのコミュニケーションに非常に苦労しました。コミュニケーションが取れないので、仕事をしにベトナムに来ているのに思うように仕事が出来ないという状況に絶望感を抱いていた時期もありましたね。数少ない日本人スタッフや、日本語が分かるベトナム人のサポートもあり、少しずつコミュニケーションをとれるようにはなりましたが、設計や開発といった専門的な業務の性質上なかなか伝わらないことも多く、大変でした。人と人とが繋がってこそ良い仕事が出来ると思っているため、私は直接コミュニケーションをとることを大切にしています。ベトナム語ももちろん最初は分かりませんでしたが、恥を捨て、積極的に話し続けました。そういった経験もあり、日本にいる頃よりも気持ちは強くなったと思いますよ(笑)。
コトブキ・シーで製造した製品は、ベトナム国内以外にも日本やASEAN、最近ではアメリカやヨーロッパにまで納品されることも増えてきました。他国の人からの喜びや感謝の声は、また一味違った嬉しさを感じますね。文化や宗教をも超えたつながりのようなものを感じられますし、世界中で必要とされている製品づくりに携わっているんだと感じられる瞬間です。
今後の目標について、教えてください
コトブキ・シーは、規模は異なりますがコトブキシーティングと同機能を持っています。そのため、広範囲での業務に携わることにより、会社運営を含めた全体を見させていただくことができ、とても勉強になりました。
実は、この春に8年ぶりに日本に帰国して開発部に着任することが決まっています。今後は、ベトナムや海外での経験を、以前から携わらせていただいている製品開発の分野に活かして、会社の発展に寄与することが出来ればと思っています。
1日のスケジュール
06:15
出勤
ドライバーの運転する車に、仲間と乗り合って通勤しています。会社の車のため、安心です。
07:35
第二工場の朝礼に出席
新製品の立ち上げやプロジェクトの打ち合わせのため、この日は主に劇場イス関係を製造している第二工場に出社し、朝礼に参加します。因みに、第一工場は移動観覧席や収納ステージなど、動きのある製品をメインに製造しています。第一工場と第二工場は車で20分ほど離れているため、仕事中も車の運転は必須ですね。
08:00
現地スタッフと打ち合わせ
現地のベトナム人スタッフと、すすめている新製品の立ち上げについて行程の確認や情報共有を行います。
12:00
昼食
昼食は、会社で支給されるので自分で準備する必要はありません。土曜日出勤の日は、フォーをはじめとしたベトナム伝統の米麺も楽しめます。
(写真は、第一工場の近くにある日本食料理屋さんです。ゲストが来た時など、特別な時に利用させてもらっています。)
13:00
事務作業
この日は午後、メインオフィスのある第一工場に戻り、海外グループ会社などからの問い合わせメールなどの事務作業を行います。
14:00
日本とWebミーティング
日本とのWebミーティングは定期的に開催します。プロジェクトの進行を確認し、製品や部材の出荷や生産スケジュールの調整を行います。
16:10
退勤
毎日決まった時間に帰宅できる場合が多いため、終業後の予定も立てやすいです。
17:30
帰宅
出張で留守にすることも多いので、帰宅後は家族との時間を大切にするように心がけています。
※このインタビューは、2023年に行われました。